Tカード情報を令状なしで捜査当局に提供 CCC「社会貢献のため」(要約) - ねとらぼ
令状なしで任意から捜査を始めなければいけない原則があり、いきなり令状は出せないのですが。
個人情報保護法が出来るまではもっとズルズルです。
警察の捜査は原則非公開です。裁判の証拠しか公開されません。他者のプライバシーの問題がありますし、情報提供者への復讐等を防ぐ必要もありますので。
CCCのような企業が情報提供を令状でとする為には、これらの事についての最高裁判断が必要なのですが、「警察が情報取得する事による被害」の認定はされていないと思います。あくまでも濫用だとか社会的信用毀損がないように任意捜査すべし、であり、誰かがこれを裁判で問う事によって裁判所判断が明らかになる訳ですが、実務上含め適切になさいとしか裁判所は言わないと思います。
任意に「どう」応じるかは各事業者の責任にはなります。が、「必要以上に応じるのはダメだ」という話になりますので(前科照会事件も、前科という情報の重さの話もある訳です)、抵抗しづらいんですよ。どの個人情報がどのレベルで問題になるのか、そんな判断を押し付けるの無理です。ちなみに、妥当として賠償請求が通らなかった判例もあります。
警察の個人情報保護法へのガイドラインも、法律ではありませんが、各事業者の免責事由になるかと思います。法律上のものじゃないから無効だ、という訳ではないです。実際、規制当局からの課長通達は法律に近いものとして扱わざるを得ないものが多いですし、警察の件だけは特別無視するというのもないですよ。
あと、えげつない事を言えば、金銭的に考えれば損害賠償請求を受ける可能性があったとしても協力しておいた方が、という実務上の判断も有り得るでしょう。捜査差押令状は強制ですし、異議申し立てが通りません。それに比べて任意段階では「流石にこれはまずいのでは」みたいな事業者の判断が入れられるので、事業者の損得勘定では任意段階で応じるものになりがちです。
特に通信の秘密であったりという、先に保護されてきたものであればともかく、個人情報保護法は警察の捜査を防げるものとして作られていません。個人情報保護法を盾にするのではなく、憲法上の規定である、みだりに捜査されない権利になります。
超端的に言いますが、
- 個人情報保護法の立法段階で、操作関係事項紹介書での照会によって各事業者が個人情報提供に応じられるように作られている。
- 咎めるなら警察や立法では。
- 個人情報保護関連の第三者でガイドライン出す方がいいのでは。
- でも、根本的には、「捜査当局に情報が提供される事は防げない」し、「それを報告されないのも防げない」からね。
余談。
警察の捜査が適法だったか、という事をチェックするような機関を設立する事は、あんまり対処にはならないだろうという感覚はあります。
対抗的にできている組織が、日本の場合しか深掘りはしてないですが、一般市民からの支持を当局よりも得られないケースが多いです。政治的な所で言えば、多党制を支持し左翼の政党も右翼の政党も一定は信頼を置くというような形にナカナカなりません。日本の場合には、上位に監督機関を置く方が普通にやりやすいのかなと思います。が、この前の厚労省の統計の問題と、総務省の統計委員会での指摘は「たまたま」です。十年以上見過ごされて来たが、アレどう考えても「やってる人らは分かっているはず」です。あと、「委員会」という形で監督しきれるはずないです。査察とか出来ない訳ですしねえ。
CCCからの情報提供は、被疑者の行動履歴(購買履歴)を把握し、その中から犯行時の付近の行動を把握した上で、現地の犯行現場近くの防犯カメラから顔を判別するというような使われ方なんか考えられるでしょう。直接犯罪に結びつく情報ではおそらくないでしょう。被害者の財布にカードが入っていて、というのも有り得そうですが、この場合は被害者が物言えない状況でしょうし・・・・・・あとは、現行犯逮捕なんかでの氏名確認でしょうか。これは多そう。他人のカードを取得しているかとかでは、例えば財布パクってた場合には照会したいですよね。まあ、素人から考えても、様々な用途で使われそうで、この用途をCCCないし外に明らかにするというのは捜査に差し支えが出てくるのも分かりはします。銀行とかだと逆に用途が限られるので警戒出来るのですが。
多分、交通系ICカード等も照会はされていると思います。
この手の話題で思うのは、みんな政治ちゃんとやりましょうよという気がします。
あとね、市民感覚の「個人情報の大切さ」って、そこまで重み持ってないんですよね立法や行政、司法も。EUでGDPR出来ましたけど、日本だと邪魔者扱いじゃないですか。個人情報をもっと大事に思うなら、GDPRみたいなの立法しようと思う人がもっと居ていいと思うんですよね。
あと、犯罪組織みたいなもののあぶり出しを、みんなどの程度必要と思っているんでしょうね。