放置とか言われても、国策で各診療所に導入出来るわけではない。そんな金はない。
そもそも診療所にファイルサーバクラスのものは置いてないし、クラウドサービスとして行うにしてもベンダーがそこまで開発に熱心ではなかった。いやまあ前職で計画は聞いてたけども、結局病院に予算がない事もあって、機能を制限した状態で導入する事が多いのだ。
ちなみに、オバマ政権でHITECH法とか出してはいるのだが、そこまでクラウド化が進んでいるわけではない。
it-trend.jp
イギリスは進んでいる、とは言うが、この辺り地域所轄ではなく国の所轄で動いていたり、そもそもNHSとかが国で縛られていて、国民が自由に医療を受けられない状況に制限されている中で行われているからこそというのがある。
計上漏れ問題について、神戸大病院感染症内科診療科長の岩田健太郎氏は「ファクスで報告していたら急増する患者に対応できなくなるのは何年も前から分かっていたこと。逼迫(ひっぱく)を生む必然的な構造があるのに、それを放置し続けたことが一番の問題だ」と批判する。
岩田氏によると、米国では医師が電子カルテに診断名を入力した時点で、自動的にデータが吸い上げられて登録・集計されるシステムがあるといい、「人の手で報告・入力を行うというシステム自体が問題だ」と断じる。
今どきファクスって…コロナ集計にアナログの限界、大阪市1・2万人漏れ(産経新聞) - Yahoo!ニュース
一応言っておくが「そんなシステムはない」。各メーカーが、国で決められた標準のシステムの作りをしているのだが、連携は当然ながら自動ではない。
また、全部のデータを連携しているわけではない、必要に応じ必要な部分だけ集計するだけである。
なお、コロナの情報を主に集めているのはNNDSSやMVPSというCDCが持っているシステムであり、電子カルテのシステムとは別口である。
Bottleneck for U.S. Coronavirus Response: The Fax Machine - The New York Times
ITシステムでも、結局そのシステムにデータを入力したり、データをチェックしたりするのは「人」である。そもそも一日数千報告させられている市町村の保健所にそんな機能はない。
ワークフローから見直しを行い、現場の保健所等の作業をFAX送付までとし、中央の市役所で確認させているという、負荷分散は行っているのだが、世界各国で現実に報告遅れは起こっていて、
現実はそんなものに対応出来るものではない。
HER-SYSのシステムパフォーマンスがでなくても表になってないのは、こういう現場がある事によって一種のクッションになっているからである。
一件10分というのも「相当に慣れた人が入力するから」であって、実際、普通の届けなら一件10分で出来るかもだが記述の怪しい届けに関しては、当該診療所への電話連絡等の手間とか含めても時間がかかる。
そこではない。
安易に「電子カルテシステムからぶっこ抜ける」とか言われても、そんな風に利活用しようと思ったらちゃんとアクセスコントロール付けてちゃんとユーザ管理してアクセスしなければ「いけない」のだが、そもそも病院ですら「本来医師署名すべきところを病院事務が代理捺印とかしている」ように、事務処理はちゃんとそういう職種が発生するくらいには元々発生していて、その中でイレギュラー業務をぶっこまれても対応しづらいものである。
そもそも、リアルタイムで情報連携とかは、そういう形でシステムを作り変えないといけないわけで、もうね、アホかと。
こういう人たちが安易な「デジタル化のアイデア」を出してくるのは、現場にしてみたら悪夢でしかない。
なんちゃってDXで連携しようとして、「病院のシステムが全然WinOSアップデートに対応していない」ので「HER-SYSとネットワーク的にそもそも連携せんのや」という悪夢な状況を、USBメモリとかにORACLEのクエリで抜き出したCSV(当然ながらそんなシステムの環境にObjectBrowserとか入れてないだろ)を入れて連携とか、二台のPCの画面見ながら転記の方が楽かもしれん、それだったら印刷して入力とかの方が楽とかになって、実質FAXより手間がかかる手順になりがちなのよね。
アメリカでは、NY州で濃厚接触者追跡の為に、一万人ほど人を雇う計画を出していたのだが。
news.ntv.co.jp
日本でこれが可能かというと、そもそもアメリカみたいに大学がそもそも行政の機能をあまり引き受けていないし、そもそもそこまでITに詳しくないので無理だろう。
まあアメリカの大学は規模が違いすぎるというのもあるのだが、だからと言って今お金を出したとしても、ユーザーが育ってないので無理だろう。