岩田氏のまとめに異を唱える。

いい加減疫学も、現近代の粉体力学の見地を取り入れるべきですよ。



隙間が多いからみたいな話。

1. 不織布マスクは隙間が多く、感染者が周りに病原体を撒き散らさない効果は大きかったが、周囲が感染をブロックする効果は乏しかった。

岩田健太郎 K Iwata, MD, MSc, PhD, FACP, FIDSA, CIC, CTH on Twitter: "マスクについて簡単にまとめておくと、 1.不織布マスクは隙間が多く、感染者が周りに病原体を撒き散らさない効果は大きかったが、周囲が感染をブロックする効果は乏しかった。 2.インフルなど典型的呼吸器感染は有症状からの感染が多く、しかも症状きつくて街を歩いてる感染者は相対的に少数" / Twitter

これはおおよそ正しくない説明と思います。
toyokeizai.net
このページの図の通り、実は大きな穴があったり隙間があっても、不織布マスクは結構穴より小さい粒子を通さないです。0.3マイクロメートルくらいがまあ売ってる粉の限界だと思いますが、それでも実際には穴は5マイクロメートルくらいは一応あり、わりと止まってます。


結論からいうと、「こんなの実験はされていないと思うが、周囲が感染をブロックする効果は乏しかった、みたいな説明をするべきものではないです」。もっと検討が必要ですね。


同じ布とつくマスクでも、実際に織っている布とガーゼマスクでは、後者の方が穴がまっすぐ空いていない。脱脂もされている。吸い込まれた微粒子を含んだ空気は様々なところでまっすぐ入ってこない為、ガーゼマスクの方がマシ、であるとか。
不織布の場合には、熱で穴を潰して布にしてあるのだがこれも結構きれいな穴が空いてないものである為、かなり効果はあります。ガーゼマスクを潰したようなものだと思ってほしいです。
ついでながら、N95マスクも不織布で出来ています。
3M™防護マスク/フェイスマスク | 取扱製品 | フィルムの企画・デザイン・加工・施工。デコラテックジャパン(3M特約店)
静電気で吸着、というのは、クーロン力でという所なんですが、クーロン力はくっついちゃうと消えます(静電気なんで)。剥がれないのは分子間力、ファンデルワールス力ですね。もう少し雑に大きな範囲の意味でいうと、表面張力であるとか出てきますが、結局のところ立体構造で濾し取るなんてのはこの領域では発生しません。


マスクつけてて「匂いがしにくいな」とおもったら、そのマスクは結構効果あると思って下さい。匂い、煙、これらはエアロゾルで、匂いは目に見えない、煙はギリギリ見える(たばこの煙を紫煙と表現したりするのは、おそらくは波長レベルでサイズが影響しているとは思います)。

エアロゾルという領域は、結構四日市とかでも石綿の話でも出てきた粒子のサイズの話で、とにかく空中に浮かんでいる粉塵はそういう厄介さを含むと思ってほしい。

もっと言えば、福島原発放射性物質が、思いの外遠距離まで飛んだんですが、今考えるとおそらくこういう微粒子化の影響もあるかもです。黄砂がはるばる中国大陸内部から九州とかに飛んでくるのは、風の話もありますが、細かい砂だからというのもあります。まあまあなサイズなので日本近辺に降りるだけで、もっと細ければもっと上空に飛んで雲の核とかになってそうな気もしますが。結構大きさのバランスというのはあります。


エアロゾルの卑近な例としては、昔コミケ会場に出来たという噂のオタク雲がありますが、チンダル現象で光が散乱して見える、んですよ。
nlab.itmedia.co.jp
ただこれ、単純に水蒸気だけではない、この水滴の核となりやすいホコリとかも要素の一つです。まあ、空気の流れ淀んでますしね・・・・・・


洗剤のスプレーでも当然ながらはっきりとは見えませんが、洗剤微粒子は飛んでます。洗剤の匂い強くしますよね?なので、洗剤使うときには換気をというのはそれあります。多分換気しないと一時間でも二時間でも匂い残ると思いますが、この匂いのようなものがシャットダウン出来るなら、比較的安全にマスクを使えていると思って下さい。


皮肉な事ですが、この辺りの知識が疫学に反映されづらかったのも時代背景とかがあるかと思います。
疫学の華々しい効果は、この四日市ぜんそく以降収まってきます。逆に、粉体工学というものが発展していったのがこの後になって来るんですよね。移動現象論の古典が1960年くらい、この頃が公害が社会的な話題になっていた全盛期です。
N95マスクという話が出てましたが、このN95の規格、公害とかの対策の為、労働者に装着させるマスクの規格です。こちらの方が主に歴史として形成されてったからなんですよね。


なので、アクロバティックに「吸い込むのは防ぎにくいが吐き出すのは云々」みたいな話を飛び道具的に置いているのですが、なんの事はないです。結局一緒です。
いい加減、シミュレーションを見たりしながら知見を蓄えてほしいですね変な説明するくらいなら。

マスクしていても感染する、その理由

鼻マスクの話もありますけど、外出してからちゃんと「手洗い」してますか?顔洗ってますか?
花粉症の人みたいに対処してたら、相当感染は防げたと思いますが、如何せん、ちょっとの間は生きていて、手でもなんでも経由して入ったりするわけです。マスク外しておそらく沢山付着しているだろう顔を洗わずに手を洗っても、顔にウィルスがついているとかもあります。
まあ、でもそら日常生活そこまでガッチリやるってのは無理はあるでしょう。誰でも病院の手術室のように対策する訳ではないですしね。


あと、感染者と狭い空間でちょっとの時間を過ごしてその人の呼気を咳を我慢されてたとしても、当然ながらエアロゾルは発生します。呼気ね。
2m離れてようが、空気を入れ替えるくらいの事をしないと、空気を共有していると感染すると思って下さい。
なのでねえ、会社内でマスク外すの、相当怖いんですよね。今は感染者が中にいませんって状況かもですが、これ、そういう形の確率になりますよね。。。。。。
まあ5月頃解禁らしいので、できれば5月頃は窓開けて暮らす勢いでと言いたいんですが、これねえ、ただ窓開けてもそんなに空気は入れ替わらんのですよ。室内で風を感じるレベルでないとねえ・・・・・・