こういうのが「普及版」で出る問題あるんよなあ。

maidonanews.jp


いやまあ、買うやつがしっかり検討して買えよというところではあるのだが、肩書き含めてまるでこの著者のやり方に産業カウンセラーとかが巻き込まれるんで、少なくとも監修くらいはマトモな心理職の人間にやってもらうべきではと思うのよね。


動物への譬えに限らず、譬えで示される印象は多義的であり、ポジティブな印象とネガティブな印象が発生するものである。「かわいらしい」の印象と同時に「幼稚」の印象を与えたりする。「問題を軽く見ている」印象にもなったりする。
もうこれ、「この本が売られている状況を見る」という時点で発生する印象であるし、だからこそ、表紙は大事であるし、表紙にみんな釣られるし、タイトルで批判される。読んでみれば分かる、ではない。


「職場の「困った人」をうまく動かす心理術」というタイトルは、コンビニの本棚に並ぶメンタリズムネタ本とかの胡散臭い匂いがする。
別冊宝島とかの、「悪用厳禁!~」とかのノリに近い。
「こういう人たちにはこういう特性があるから、こういう風に職場で案内したら上手くいくよ」という事を教えてくれる感じが全くしない。


そりゃ反発もされるだろう。


「自分がちょっとどこかおかしいんじゃないかなと思ってる人」って結構増えてる。
それは、「働きを評価される社会」で、トップが表彰されるような場合それは何も悪い事ではないのだが当然ながらそれ以外はダメでもないが褒められはしないという事にはなる。当然ながら色々なところをほめるにしても会社の業績に貢献している人が一番褒められるのは悪い事ではない。ないのだが、人間という群れで働く生き物がチームワークを損ねる結果、結局成果を減らす原因にもなりかねない。
だからこそ、職場の心理的安全性とかの話が昨今言われているわけである。


「動物に譬えられた人々に共感する」人が多かったのではないか。


世の中、滅茶苦茶平均的であり精神が安定している人、というのは、多分いない。
あと、「このようにあなたはコントロールされる」と言われてあんまり気分のいいひともいない。
あと、この手のテクニックって、「相手に読まれたらあんまりよくないテクニック」になるよねえ。。。。。。この手のテクニックをやってると公開されて、このカウンセラーの前に立たされると、相当嫌な気分になると思う。


あと、個人的になるが、カサンドラ症候群という言葉が私は相当好きではない。
理由ははっきりあって、カサンドラ症候群というのは、明らかに「あいつのせいで」という前提があるという事である。無論、現実問題として、人のせいで私が不幸になっているというような、ある種の藁人形を持つという事が悪いという訳ではないし、実際、環境を変える際にこの人と離れた方がいいなという事もある。あるのだが、それは、例えば親子なんかを両方見た時に、切り離してしまってそのまま暮らすのがそれでいいのかという事を考える。
そりゃさ、人間関係が沢山あるより、人々をそれぞれ孤立させてれば問題は起きにくいかもしれないが、孤独で暮らすって、それなりにしんどい人多いと思うんだよ。


正直、この手法って、「生きづらくて悩む人」のお世話は無理じゃないかな。「本としては」逆効果でそうなんだよなあ・・・・・・