何か医療での新技術って、いつもわりと大味なんだよなあ・・・・・・

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うーん・・・・・・

この体温計は、電気を通す新しい素材の研究を進めている東京大学の染谷隆夫教授のグループが開発しました。
グループでは、“電気を通すインク”のひとつとして、熱によって膨張する物質を加えたものをつくり、温度の変化にあわせて電気の通り方も変化させることに成功しました。
このインクを薄いプラスチックのシートに印刷すれば、印刷した部分が温度センサーとなり、体に貼り付けられる体温計の開発につながったということです。

体に貼り付けられる体温計を開発 NHKニュース

体温が腋下や舌下で測られるのは、それが測りやすいからなんだけど、それなりにデータの蓄積もあって、直腸温よりは高いとか分かっている。
また、こういう体表温度の場合には、周りの温度に左右されやすいものなので、体温の変化を測定しているようで気温の変化を測定しているというオチになりかねない。


これを有効につかうなら、恒温槽みたいなのにつけるとか、外環境温度を一定に保つ必要があるんだが、それでも難しい事がある。
例えば外気が20℃、体表温度が34℃とすると、その差の14℃が、薄い表面の所で温度勾配を持つ事になる。これ、本当に難しい。


あと、精度の高いものは大抵測定可能範囲が狭くなる。故に体温という所に目をつけたのだろうけど、恒常的に熱移動が発生している中で精密な測定ってのはちと難しい。原理的には精度があっても、実際の温度とちゃんと合致しているのかどうか。ヘタすると湿度にも影響されるんで。


実験動物とかで行うならばまだいいのだけど、「簡便な温度測定に使う」とか、日常使いにはちと難しいと思う。


ちなみに、温度に関してこうも厳しめな見解を持っているのは何故かと言うと、温度変化に伴う固体表面上の液晶の相変移とかを調べるというのを大学の卒論でやってたんだけどね、ガンガンにヒーター使って部屋を温めても35℃前後でやるその状況に対しては厳しくて、何本も液晶で探針折ったから。探針の変位検知するレーザーが、液晶で複屈折するしさ。
そこら辺で、温度というか、熱移動の厄介さは身に沁みてる。


それにね。

「インクの厚みってどういう感じ?」というのもあってね。
原理的に単分子層、という訳でもなかろうし、一定の厚みにするとか考えるとそれがインクで出来るなら大変楽だわという気がするのよ。
その精度だそうと思ったら、工業的にそれが出来るようにしなかったらダメだろうしね。下手にナノ領域に入ると、その場その場での状況にスゲー引き摺られるしなあ。湿気とかどれぐらい大丈夫なもんだろう。


まあ、それはそれとして。
当面は病院とかで使われる事はなかろうと思うよ。幾ら安いっつっても、そこらの体温計に比べるとどう考えても金かかりますし。