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不織布と通常の布のマスクの比較として、朝日新聞の絵は不適切。
一応言っておくと、不織布か通常の布かで、空いている穴の大きさが変わる訳ではなく、ウィルスフィルタなるものは、そういう商品でないとついていない。箱買いするようなやつとかではあんまりついてない。
不織布の方が、ウィルス等の粒子の吸着度合いは強かろうとは思うが、それは繊維の方向等が揃っておらず、開いている穴も真っ直ぐではないだろうから、付着しやすかろうとは思う。
ただ、今、「布マスク」とか言われているのは、いわゆる綿を中に入れたやつなので、正直、性能は分からん。
論文の試験は、「マスクの性能を比較した」という訳ではない。
A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers | BMJ Open
対照群(control arm)*1は、「standard participants」で、普通の方法でやっている。マスクをつける側は「勤務時間中常時つける」という特殊な事をしている。
疫学的にやっているので、どうしても、「付け方なんかも含めて」結果を見る事になり、布のマスクは「洗浄する必要があった」。
まあ、結局のところ、「洗浄して使い回す」問題があるので、マスクの性能比較ではなく、もう少し考えられる要因は大きい。
注意:マスクは、「穴で濾し取る」訳ではない。
粒子なんかをマスクを通して息をする事で、マスクに付着させるだけであり、粒子径よりも大きな穴は通常開いている。この穴、小さすぎるとあっという間に使えなくなる。
N95規格を満たすマスクなんかもおそらくは0.3μm以上の穴は開いている。
粒子の物性は結構面倒で、医学専門家はあんまり微粒子の事を分かってはいない。高校の化学レベルでとどまっているのが基本。
エアロゾル感染なんて聞いた事がないと言った感染症の専門家もいたくらい。
注意:N95マスクとサージカルマスクと市販マスク
N95マスクとサージカルマスク(ASTM-F2100-11に従ったようなの)は、特に大きな差はない。従う試験が違うというだけだ。ただし、日本の場合、サージカルマスクの規格がない為、どんなものが使われているかは分からん。ただ、根本的に作りが違うとかではないよ。
根本的に我々、マスクの部分を通過してくる空気をそこまでは吸っていない。吐く息もそうではあるが、吸う時に比べると正面にぶち当たっている分はマシかもと思われる。咳の空気の速度はそこそこ早かった気がするが、そういう場合には、マスクで一旦引き受けられるものの、そこを通過するよりも横から漏れるとは思われる。吸う場合も。
で、適度に通過してくれないと、むしろ漏れ部分が大きくなるので、適度な通気性が必要になる。
注意:連続使用は性能はどうしても性能が落ちる。
基本的に吸着で粒子を取るもので、活性炭とかでも思い出して欲しいが、性能はどんどん落ちていく。洗剤とかである程度落ちはするものの、繊維の細かいところまで入り込めるかというと案外そうでもないので注意が必要である。つけ置き洗い結構時間を必要とする。
また、もみ洗いは布地を傷めるのでよくない。傷むとその傷んだところが大きな穴となり性能もガタ落ちになる。
そりゃ不織布の使い捨てマスクが使える時にはそっちの方が感染しないわ。
という事です。
*1:昔は対照群の事をcontrol group と言っていたが、最近はgroup の代わりにarmを使う。Fig.1のように分岐させるから