ユッケからO-111。

困ったね。どうも。
警告を出してた人は居て、まさにこんなことを避けたかっただろうけど、結果的に避けられなかったね。

腸管出血性大腸菌

腸管出血性大腸菌の一種。簡単にはWikipediaを参照のこと。
この十年か二十年ぐらいですっかり食中毒の主役になってしまった感じの腸管出血性大腸菌なんだけど、O-157は特に有名だけど、O-111も毒素としては同じベロ毒素を出す。
厄介なのが、この菌たちは付着が100個程度でも十分に繁殖して食中毒の原因となる。また、個人による症状の程度の差はあるけどもかなり激しい症状になる。今回のケースは死亡してしまったのだけども、出血性大腸炎、血中に入ってしまったら溶血性尿毒症症候群を起こす。まあ、通常の食中毒より遥かに死亡リスクが高いと思って問題ない。
健康被害が大きい理由のひとつには、ベロ毒素の凶悪な細胞毒性がある。また、抗生物質によってこの大腸菌を簡単に退治することが出来なかったり治療が一筋縄ではいかないことがある。大腸菌を死滅させる際に菌内のベロ毒素が出てきてさらに症状が悪化する、とか。
ともかく、激しい症状が出たら、人工透析なんかを必要としたりすることもあって、かなり危険な感染症で、伝染もしやすい(糞便とかからの経口で、だけど)というとてもとても厄介な代物。
集団感染でかなり感染し、その中で数%が重症化する、というのは、
まあ、現代の「赤痢」と言えなくもない、と思っている。

何故生肉が危険なのか

理由のひとつに、牛が感染しても無症状であり、牛はかなり保菌している。そして、そのような形でO-157が居る場合に、牛のどの部位に居るのかって言ったら消化器だったりするのよね。
だから、衛生基準ではその辺りを加味して、「一頭処理するごとに洗え」とか「ちゃんと消化器破れないように処理しろ」とかあるのね。


但し、これも、リスク軽減はするけども、「火を通しておく」以上に良い方法はない。まあ、毒素もたんぱく質なので。
アルコール消毒も殺菌には有効なんだけども、毒素は破壊しない。ただ、今回のケース、結局中央で捌くだけ捌いて各地に運んでから調理する場合には、アルコール消毒をかわして生き残ってた(菌が結局繁殖しちゃってる、ってパターンに思う。故に、「アルコール消毒してれば大丈夫だと思った・・・・・・」は、アルコール消毒が十分でなかった可能性は高いと思う。ここらはある程度推測だけども、同系列の別の店でも同じように食中毒が起こっているんだから、かなり大きな単位で汚染されているような状況がはっきりとある訳で。

基準・規格

生食用の規格については「糞便系大腸菌群(fecal coliforms)及びサルモネラ属菌が陰性」の必要がある。つまりは検査が必要。
生食用の加工の基準については、一言で書きづらいくらい各種の規定がある。まあ、「確率の高い部位をきちんと処理すること」「万が一でも菌が繁殖しにくい環境でおこなう」みたいな話で、これは、食肉加工場だけじゃなくて、調理場にも及ぶ。
ので、大抵守られてない。焼肉店で、「生肉を10度以下に保ちながら調理」とか、まず無理無理。
参考:厚生労働省

余談

皮肉なことに冷凍技術やらが進歩する度に危険が増している気がするね。


ただねー、魚とか卵とかは、基準が違うとは言え、生食用とか守る。
やはりスーパーにそう並ぶからだろうね。肉の生食については、専門店での提供ということもあって、あんまり守られないということになってしまうんだろうなあ。