致し方なし。

kumagi.hatenablog.com
かつて某ベンダー子会社にいたが一年前に転職した身として。

ゆでガエル感。

入社7年目のサラリーマンの給料(ボーナスや家賃補助など全部込み)として、僕の年収653万円という数字は先に書いたように年代平均よりは良いしこの数字を貶すのは気が引ける。その一方でここからモリモリ上がるかというと管理職昇格という狭き門を通り抜けない限り良くて800万円になるかどうかというラインを生涯さまよい続ける事になる。

6年勤めたNTTを退職しました - Software Transactional Memo

実のところ、「給料はそんなに高くはないが、福利厚生なんかで長い年月労働縛りではあるがまあかなりマシな方」とは言えるが。


今、「猫も杓子も管理職」という時代を通り越して(バブル崩壊後、団塊世代バブル世代を中心にそういう仕立てがまかり通った)、「管理職とは低級肩たたきにも直結する」、『会社の強みを活かした』新規事業のいいラインでないと不遇になる時代になっている。


研究所の職だと一般SIerとは多少は違うだろうが、社会人数年経過した後、「なんかこれ研究しようぜ」という掛け声もあまりなく、「既存の領域で揺蕩う」成長の限界線を引かれてしまう事も多かろう。厄介な事に、その辺りをグイグイ押していくような管理職が育っていない。
出来がいいのを採用するのはよくても、それが実のところ研究所の中に配置していい感じに育ってくれるのを待つというスタイルになりがちで、栄養剤を足すとかもっと戦略的に人をかき集めるとかやる気がどうしてもない。
勢い管理職へのなり方が、「この人がドメインを仕切っているから」ではなく、「社内でうっすらつなぎが出来、上に説明出来る人」からなっていく為、専門家が社内でプレゼンスを発揮しづらいというのもあるか。


なお、給料が低いからというよりは、「なんかやりがいがないし給料もそれほどいい感じしない」というものであろうと思う。


自分が前職で言ってたのは、「やるのかやめるのかハッキリしてくれ」であった。
営業が「あるリソースを使ってのグループ内営業活動」程度であり、そこそこスキルあるのに、新しく始める事が出来ない(グループ内でド素人みたいなのが新しくプロジェクト起こせてるのに)、知ってる事を強化するような形で仕事やれないのがあってとにかくイライラが多かった。
自由度は高いが、サポートもない。社外からの問い合わせは多数あるのに使える人をつけてくれない作ってくれない。あまり戦略的に人員を配置しようとしないし、いつでも棚ぼた待ちみたいなのにうんざりしたというのもある。

社内のセキュリティw戦略が酷い縛りプレイを要求するという話。

もし大規模なセキュリティインシデントが発生した場合、有形無形の損害は計りしれず被害額の見積もりは何千億の単位に登るかもわからない。その規模の被害を避けるために行うセキュリティ施策は当然厳戒なものとなり何よりも理に叶っているようには見えない方策が次々と科せられ、一説によると経営層(社内では大手町と呼ぶ)の中で「オリンピックまではセキュリティ施策を理由に一切の研究が止まっても構わない」と豪語されたとまでささやかれたし、実際にそうだったとしても驚かない。

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セキュリティに限らず、研究所以外の場所ではソフトウェアの開発をしているというのにメモリが4GBとか未だにHDDを使っているとかそんな非人道的な環境での作業を強いられている部署もあるという証言もあった。メモリ4GBなんてイマドキのエンジニアであればブラウザだけでゆうに使い切ってしまうが、そこでEclipseやらメールソフトやらを立ちあげなくてならずスワップが発生して環境立ち上げだけで途方もない時間がかかるとの話である。メモリとSSDの数万円をケチって何百万円分の人月稼働をドブに捨てているかという自覚を持てない人間が指揮を執っている可能性すらある。面白いのが一説として「今の経営層の現役世代のPCはメモリが128MBとかの世界だったから、4GBというのが途轍もなく巨大な容量に見えているのかもしれない」という話で、なるほど大企業的かも知れないと納得するに至った。

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これ、ITリテラシの低い経営層がという問題ではなく、日本の組織づくりにおいて、特にIT企業において、間違った組織作りが用いられているのではないかなと思っている。
プレイングマネージャーという言葉が流行った事があるが、何のことはない、本来マネージメントやる層ではない現場リーダークラスの人間が課長になってしまっているだけのような。
課長以上の部分、部長あたりが脳死している。というか、社内でのほぼ隠居職になってしまっており、経営層が戦略ではなく現状維持スタイルでやっていて、「何年かけてコレ作ったの」とぼやきたくなるような「場当たりスタイルの設計」が残る。


SIでやってると、社内調整が一番面倒臭いという印象がある。

福利厚生というかまあ年金捨てても年収上げに行くのが正解かもしれない。

ぶっちゃけ、大手SIerは、事業規模は素敵に見えてもやってる事がベタだったりするので、それを仕切ってるのに憧れはせんなあと思うし、仕切りがコミュニケーションスキル全フリというのも正直どうなのと思う。
ので前職を辞めたのだけど、転職そのものは別に悪い事ではないし、そしてフリーにならないのもいいんじゃなかろうかと思う。
所詮は他人事であるけども、稼げたからいいという訳ではないだろうが稼げなければ不思議と仕事に束縛されがちなので、Googleがエンジニアの就職先としていいのかどうかはわからんけど、少なくともやりたいことやって粘って勤めるところでは、日本のベタなIT企業は違うとは思うし。
何というか、既存業務を続けつつ、ひたすら日が陰ってくのに耐える感じなので、外に出れるなら出るのもいいのではと思う。あと、案外社内でキャリア積むより、転職でキャリア積む方が将来的にも稼げそうなのよね。社内キャリアパスが渋滞している割に、必要があれば社外からキャリアを調達するのも辞さないところがあり、社内で頑張る甲斐もそうないからなあ。