「2015-11-20」を見て。
スクリーニング効果について
ややこしい話になるので、まずは結論から書く。「スクリーニング効果」の定義には混乱があり、過剰診断を含む意味で使う論者もいれば、過剰診断を含まない意味で使う論者もいる。最近では、過剰診断を含まない意味で使われることが多くなった。今後は、スクリーニング効果という用語は過剰診断を含まない意味で使うのがスタンダードになると思われる。
2015-11-20
いわゆるスクリーニングの影響として言われるのは、「リード・タイム・バイアス」であり、「レングス・バイアス」であり、「セルフ・セレクション・バイアス」である。
まあ、大変カンタンに言うと、「普通に診療している、我々の日常で発見される『疾患』の現れ方」と「調査的に行われる検診での『疾患』の現れ方」は、大きく異なるが故に、様々な「バイアス」が働いている。
スクリーニングの方が「より正確」な可能性はあるが、「元々知られている発見率」とは比較にカンタンには使えないという事である。
「過剰診断」という観点について。
過剰診断という事については、「何を過剰とするのか」というところについては二点ある。
- 経済的観点
- 医療的観点
時々混ざっているのであるが、前者は理解されやすいが、後者は理解されにくいところがある。診療に際して患者のリソース消費されるのは金銭や時間だけではない。侵襲性のある診断方法ならば健康を害する可能性は常にあるし(確定診断などには、針で刺したり放射線を使ったりするんで)、病気かもと思われつつ診療されるのは、心身に負担がかかる事はある。
前者の経済的観点については、後で若干書くが、福島県民全体の健康調査みたいなのには異様に金がかかっているはずである。
「スクリーニング効果」に「過剰診断が含まれるのか」という話について。
その診断方法は何、なども含めて、それこそ統計的に見ないとなかなか「どれが過剰診断なのか」は判別がつきにくい。
また、「過剰診断」は「何が過剰なのか」と話者が考えているレベルが異なる為、スクリーニング効果に過剰診断が含まれるかどうかというのは、「場合による、という状況がいつまでも続く」とは思われる。