何年か前から、「Web広告の効果もソロソロ視野に入ってきますよ」と言ってますが。

こういうとなんだが、一応、どこぞの会社のソリューション製品をご提案したりする立場から言うと。
Web効果計測用のソリューション製品はだいぶ前からあり、結構企業もTwitterなんかの統計情報を買う時代になって来ている。
で、そこら辺からデータを持ってきたりすると、見事に「いつから広告が露出したか」なんてのが、副次的に一発で分かるようになっている。
うん、別に広告の信用調査をしようとしている訳じゃないのだけどもそういう事で発覚したりする。

しかしWeb広告は「実際の売上」を証明するデータの蓄積がない。ネット通販ならそのままオンラインで売れるが、クルマなどリアル店舗で購入する商品に関しては顧客の何割がWeb広告経由で訪れるかを正確に測定できない。

電通のデジタル広告不正について、クライアントの立場から「ごめんなさい」と言いたい - トイアンナのぐだぐだ

これとかも、簡単に言うと、「事前」「事後」のデータを比較する訳だよ。もちろん季節での売れ方の変動や税制とか他の要因もたくさんあって、ホントの所高い精度で「Web広告の影響」が分かる訳ではない。んだけど、「Web広告の切れ目」みたいなものとかは見えちゃったりするんだよ。
データマイニングの前の、データクリーニングの時に発覚する「雑な話」ってのはあって、これ、多分メーカーさんの会社では「別の部門が担ってたりする」からこそというのもある。契約と実際の期間のズレ、なんてのは、意外と契約をやってる営業間では暗黙の了解になっている可能性が捨てきれないなあというのもある。
電通の話から見るに、これ、契約期間と実際の広告の期間がどうアサインされているのかの話で、よくあるんだよというか今自分が作ってる見積りとかマジでそんな感じ(こちとらサポートですが)。複数段絡んでいると、「一番上の契約がされないと発注先への契約が滞る」とかホントザラだから。それ見越して一ヶ月前くらいには話つけてたりするけど、それでもザラ。

だからトヨタの指摘があったと聞いたとき、私は驚かされた。トヨタはどんだけWebへ期待してるんだよと。もしかして上層部から売りが達していない理由を詰められて、咄嗟に「広告の実施状況を今一度確認します」と口走ったから今回の不正が判明したんじゃないの、と。

結果として実際に不正があったので、電通が今回は売上未達の非を全面的に負うことになるだろう。私がトヨタのマーケターなら胸をなでおろすところだ。

電通のデジタル広告不正について、クライアントの立場から「ごめんなさい」と言いたい - トイアンナのぐだぐだ

これ、多分ちょっと違う。
トヨタの「乾いたぞうきんを絞る」施策の一環だろう。


Web広告の効果測定というのは、その実経費カットが目的になるんだわよく。満遍なく広告をぶちまけるのではなく、効果の高い所に選択的に出稿すれば、当然費用は下がる、そういう所。
そして、トヨタとかでも「多分そうだろう」が、コストの見直しってのは「部門ごとに行われる」。内部の部門は売上が目標になるのではなくコストカットが目標となる事が多い。「だから」大手企業の広告は減らされている。
これが、本当の意味で「広告が売上に寄与していない」とか計算するには、単に広告の効果測定をするだけではなく、その実鬼のような管理会計が必要になるんだよ。新技術が売上に貢献していないとか、そういう事を考えるには。実現するにはナカナカ難しく、実際KPI過多の為に経営判断が余計に難しくなってる会社さんもいるらしいし。

不正は不正で、現時点でもすでに社員は方々のクライアントとケジメをつけているところだろう。いくら予算不足の部門だろうが、慰謝料も社会的制裁も大いに受けるべきだ。だがその一方で、依頼主としての無学から罪悪感に胸を締め付けられた次第である。

電通のデジタル広告不正について、クライアントの立場から「ごめんなさい」と言いたい - トイアンナのぐだぐだ

企業の場合には損害賠償金となる訳だが、さて、「広告が打たれていないが故に損害となっている金額の基礎」ってのは算出がこれまた難しい(社内的な都合はともかくとして、対外的に証明しなければいけない)。なので、正直、裁判沙汰になっても「和解前提」とはなるかと思う。


ビッグデータ、BIの活用として、「不適切な何かの検出」というのは、しばしばある。
というか、まあ、残念ながら統計を利用して何か新しいチャンスを発見するよりか、はるかにこっち側が効果として現れやすいので。予算取りには使えないけど、実績には使いやすい。
悲しいかな、統計の知識が必要なのではなく、統計前のデータクリーニングで発覚するようなものですがー。


さて。
私のお仕事は、某お値段する統計パッケージを導入したりするお仕事ですが。
仕事ないので仕事下さい。上等なやつを頼む。