微粒子の粒子径について少し。

微粒子工学の教科書、多分実家だなあ・・・・・・


news.yahoo.co.jp

微粒子に関する医学の知識は正直アップデートが遅れている。

ja.wikipedia.org
ちなみに、日本のWikipediaには境目が0.5μmとあるが、引用されているテキストを見ると、古典的な意味では5μmである事、その境目が意味がない事が書かれている。

西村 その前に、冒頭で紹介した声明が発表された後、仲間内で議論になりました。メールでのやりとりでしたが、面白いし大事な議論なので紹介します。

 実はあの声明の中にもmicrodropletsという言葉が使われていて、「microdropletsによるairborne infection」という言葉の使い方をしています。microdropletsはそのまま訳すならばマイクロ飛沫となるかもしれませんが、声明の説明に即して訳すと「顕微鏡観察レベルの飛沫」といった感じになります。

 私は、署名当初はとにかく結束して空気感染を認知させることが第一と、その表現には目をつむりましたが、声明がジャーナルにacceptされた後、主要著者メンバーに「microdropletという言葉は誤解が多いのでやめないか」と提案しました。「我々には昔からdroplet(飛沫)とdroplet nuclei(飛沫核)という言葉があり、dropletのうち空中浮遊するものならびにこれまでの理解通り空中浮遊するdroplet nuclei がウイルスをairborneでtransmitさせると言えばいいのではないか」と考えたからです。

 これに対し、「dropletは径5μm以上の粒子で1~2m以内に落下するものという、実生活空間ではほぼ意味のない定義を信じて疑わない人たちが混乱する。その上、飛沫が乾いてできるdroplet nuclei(飛沫核)だけが空気感染を起こすと誤解している人たちも多いが、皆が知っている通り、それ以上の径でも空気感染を起こさないわけではない。だから、空気感染の定義に粒子の径や感染までの時間や距離の要素を入れるべきではない」と述べた人がいました。

 また別の人は「dropletとdroplet nucleiの区別も実際にははっきりしていないので、いっそdropletという言葉はやめて、エアロゾルのもともとの意味を尊重して空中に浮遊する粒子全てを含めたエアロゾルによる感染とすべき」と提案しました。そうしたら、「いっそのこと、落下する粒子と落下せず浮遊する粒子に分けたらどうか」という意見まで出てきました。「その落下の定義は、目で見えるものとしたらどうか」とまで言う人も現れ、それに対して、「目で見えるか見えないかは光の当たり方で簡単に変わるからだめ」とか……。

 結局、メールのやり取りだけでは結論は出ずに、今は保留の状態になっています。しかし、ここで私が多くの人に知ってほしいのは、これまでの旧態依然とした5μmを境界とした落下するdropletとそれ以外のdroplet nucleiとに観念的に分け、後者のみが空気感染を担うという考え方は、もう現実に合わないことが分かってきたということです。

──感染対策を考える上で、粒子の大きさだけで議論しても仕方がないということでしょうか。空気感染の議論と広い意味での感染対策は、結局は感染様式の話に落ち着くようにも思えるのですが…

西村 感染様式とは何なのか。つまり、airborneは空気を媒介とした感染です。水を介した感染ならwaterborne、ロンドンのコレラの流行の原因を突き止めたジョン・スノウ医師の話で有名です。C型肝炎のように血液を介した感染であればbloodborne、食べ物を介するならばfoodborne、蚊やダニなどの昆虫を介してならばvectorborneというのと同列です。媒介物は何かを言っているだけです。インフルエンザ学者の多くはインフルエンザもairborneだと考えていますし、新型コロナウイルスも、よくよく検討したらairborneであったということだけです。

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粒子径で、空気感染・飛沫感染を区別する意味はおそらくほとんどない。レジオネラ菌程度のサイズでも、空調設備を介して室内に感染をもたらした事もある。

微粒子の粒子径の区別について

その前に、粒子径の測り方なのだが、光学的に見て長径・短径とかあるが、ストークス径というものがある。
空中の微粒子は、空気からの影響でゆっくりと沈降していくのだが、その沈降速度を求めるストークスの式で逆算的に計算されるのをストークス径と呼ぶ。
なお、光の波長は500nmで、0.5μmであり、この領域はサイズの測定が怪しい・一定幅を持って考えた方が良い。


なお、PM2.5は2.5μm、タバコの煙は0.01μm~1μmである。


昔の境目とされた粒子径も、実際のところは多分測定装置等の限界の問題でそうなっていると思われる。PM2.5は比較的最近だと思うが、このあたりの粒子サイズのものを集めるとかが結構苦労する。

微粒子は空中をどうして漂うのか

空気の分子そのものも運動しており、四方八方から衝突され、それによって動かされる。空気中の中でのブラウン運動である。長い時間をかければ沈降するかもしれないが、それよりも空気の流れ等の要因で十分に浮かされる事の方が多い。
10μm程度でも十分浮きっぱなしである。

微粒子の変化

空気中の微粒子は、しかし、「衝突」により粒子がくっついたり、また「水分が蒸発したり」する。軽すぎれば壁に張り付きやすく、重ければ沈降しやすい。
湿度が高ければ空気中の水分子と吸着して地面に落ちる(雨が空気中の汚れを取る)。ただ、加湿の効果は不明(あるとは思うが、とはいえ結露するほど加湿出来ている事はまあないし)

古典的な空気感染とは違うが、そもそも昔から換気だとか、飛沫感染では関係ないところで対策はしている。

三密の距離は、正直根拠が薄い。
www.sankeibiz.jp
うーんいやまあ戸外の平均風速になる2mとか3mの条件はほしいのだが。まあ。

匂いや煙で考える場合の注意点。

粒子径は似ているのだが、匂いや煙の場合、消えたのではなく見えない粒子径になったパターン、鼻が慣れてしまったパターンがあるのでそこは注意されたし。

長年の慣習の距離はどう考えればいいのか。

処置対応の都合で維持されているものだと思ったらいいかと。


もうひとつ、スーパースプレッダーとかあるが、多分ウィルスの場所・咳の方法に強く依存するとは思われる。基本的には音の大きい咳をする人とかはよく出してるだろう。喉元のつばはベンチュリー効果で飛んでいると思う。吹奏楽で楽器やってた人は、楽器につばがめっちゃたまる経験があると思うが、逆に言うと楽器では結構ウィルスが捕集されている。湿気ないマスクはあんまり効果が出てないという事でもある。

「空気感染はない、飛沫感染」という発言についてはどう考えるべきか。

尾身氏はあまり詳しくなく、古典的研究の延長線上で大丈夫だよという発表を行っているのだが、正直科学的に詰めた話ではない。
コロナウィルスの研究については、正直あまり日本の研究で参照すべきものは新しくは出てないと思う。まあ、無理もなく、保健所とかで協力してもらう事がマンパワーねえからなあ。富岳シミュレーションもネタがイマイチない(そろそろ、現実とシミュレーションのすり合わせが必要だと思うが)。
一応念の為にいうと、現実に合う形の研究成果くらいしか出てこない。院内感染はぼつぼつ起きるし、だいぶマシになったとは言え、相変わらず陽性だが無自覚な感染者が広げているところはある。緊急事態宣言で収まったというよりは、季節の影響が出てきてるかなあという気がするのだが、先の緊急事態宣言より全国的に広がっている為、医療資源の枯渇が心配である。


新型コロナウィルスのワクチン接種については、どうも連携していなさそうで、薬事と医療はもうちょっと連携した方がいい。あと、大学と民間病院の連携とか。
地方で進められている取り組みが、国の方で把握していないように思える。
なお、取り組み自体は素晴らしいのだが、かつかつのリソースをあまりに有効活用すると、バッファがなくなったらどうなるか、そこまで考えて計画は立ててもらいたい。