伊藤穰一氏は、どう考えても、このデジタル利権を取り仕切る庁のトップには相応しくない動きをしているわけで。

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8月5日に「デジタル監に伊藤氏で最終調整」との第一報が出て以来、性犯罪者で2019年8月に獄中死した富豪のジェフリー・エプスタイン元被告から伊藤氏が資金を「受け取っていた」問題を理由に、政府機関のトップに伊藤氏は不適格とする報道やオピニオン記事が相次いだ。各筆者のネガティブキャンペーンの動機はよく分からないが、こうした記事のほとんどが事実関係を不正確に記述し、伊藤氏の名誉を毀損するものだった。

デジタル庁、迷走の末の船出 まずは〝ベータ版〟として: 日本経済新聞

伊藤氏が19年9月にラボ所長を辞任したのは、獄中死事件をきっかけに広がった混乱のそれ以上の拡大を防ぐための自発的な決断であり、大学による処分ではない。調査報告書によって伊藤氏が何人もの大学幹部に相談しながら寄付を受けていたことが証明され、大学は最終的に伊藤氏に何も処分を科していない。逆に他の教授が大学に届けずにエプスタイン元被告から寄付を受けていたことが明らかになり、こちらには処分を科した。

もちろん、伊藤氏にデジタル監就任を打診する前に、官邸は徹底的にバックグラウンドチェックを済ませ、以上のような事実関係を把握していた。その結果、伊藤氏自身に違法行為や規則違反はなかったとして就任を打診した。しかし、平井氏主導のこの人事を快しとしない勢力が官邸周辺にいて情報をリークした。注文通りネガティブ報道が出てくると、最終的に菅首相がひるんだ――。というのがここ数週間の展開だったのではないか。デジタル監人事が一種の政争の具にされた感がある。

デジタル庁、迷走の末の船出 まずは〝ベータ版〟として: 日本経済新聞


伊藤穰一氏は、MITラボの代表でありながら、実際には寄付元の問題を知る人物として、隠蔽に加担し実態と異なる話を世間にしていた、という事は確定している。
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主犯ではない、とか、違法行為ではない、とか言っているが、表側の大学当局に虚偽の報告を行っており、いくつかの「幹部」(隠蔽体質を産んだ第一の問題のある人物ではあるが)は事情は知っていたとは思われるが、とは言え、「発表した内容と暴露された事実の乖離の責任の一旦、要は隠蔽に加担した」という事は結構大事な話である。
例えば、具体的に政治家からの指示により入札を歪めたりしたとしても、多分隠蔽するだろうという人事である。
平井デジタル担当大臣の、東京オリンピックでの故意のNEC外しというような報道のちょうど後のタイミングであった。


日経のこの記事は、しばしば新興企業を無茶に押す日経っぽい視点の記事だとは思うが、日経は伊藤穰一氏の悪評のうち勘違いのある部分についての批判を行う事によって、伊藤穣一氏が「悲劇の被害者」のように扱うが、そもそも伊藤穣一氏が「コンプライアンス違反」は確実に犯していたという観点をあえてぼかしている。
エプスタイン氏を何故偽名で扱い、公には寄付していない形としたのか。本人は公式には認めていない、から無罪だとかってのは流石にバックグラウンドチェックが出来ているとは言えない。
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普通にこの事件を知っていた人間が、伊藤穰一氏が就任すると聞いて驚いたのだが、こんな話はちゃんと表で話されている事であり、当然ながらMITメディア・ラボ以外でも様々な役職を辞職した事をしっており、それが起こったのが2019年だったという事から、「いや冗談にも程がある」というところからである。
こんな人事、事情知ってりゃまず第一に候補から外れるものなのだが、官公庁のバックグラウンドチェックから腐ってるのではないかと思わせる書きっぷりである。いやまあ官公庁がバックグラウンドチェックを怠ってたというより、バックグラウンドチェックの判断基準が歪められてるだけだろうが。
有り得ない人事が当たり前に起こっていて、MITメディア・ラボのように職員が抗議の意味を込めて辞職する、ような事が発生していないのが残念だが。


なお、次の人事の評判の聞き取りについても、日経はおかしい。

そんなどろどろした政治状況のなか、急きょ白羽の矢を立てられたのが、石倉洋子・一橋大名誉教授である。IT(情報技術)の専門家ではないが頭脳の明晰(めいせき)さと大きな構図の理解力については多くの人が折り紙を付けている。

デジタル庁、迷走の末の船出 まずは〝ベータ版〟として: 日本経済新聞

そんなふわふわした評判で人事決まるのか?それに、一番デジタル庁に求められるのは「賢しらさ」ではなく「透明性」である。賢い人間が国民をだまくらかして利権を操作する、事が望まれているわけではない。


流石に、こういう記事は記者の小柳建彦氏自身の評判につながると思うがどうだろう。