ゲーム障害の話。

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まず。

ICD-11への改訂で新カテゴリが追加されたという「だけ」です。
日本では保険医療の兼ね合いから、医師の診断名に影響を与えるかとは思いますが、それでも「真の病の状況」は診断名とは一致しません。


そうですねー。高次脳機能障害とかの場合、短期記憶がなくなるとかあったりしますが、変わった形で不具合が起こる人もかなりいます。一律で記憶が失われたり24時間しか記憶が保持されなかったりするという訳ではない。
全ての症状をうまく表現する診断名は存在しないです。それこそラノベの長いタイトルみたいな診断名にしても意味がない。
たくさんの診断名がついたとしても、特に精神疾患の場合はそうですが、症例としては一つ「でしか」ない。


なので、特に精神疾患の分野は、分かりやすい病名⇢治療法、という体系ではなく、様々な「症」を表す言葉とそれらをまとめて一つにしたような診断名」みたいなのが幾重にも折り重なる世界です。
オマケに、症状としてはうつなんだけど~の中に、躁うつ病や総合失調症の中のうつ状態双極性障害抑うつ状態等の様々な病態(しかし原因や治療はかなり異なる)が混ざってます。


なので、統計分類としてこの手の言葉は追加されたりします。それが今回の「ゲーム障害」という事です。
集計等に使われ、他の分類で十分であるあるいは他の疾患に統合され得るなら将来的には名前としては消える可能性はあります。


なお、まだ新しい「Gaming disorder」はまだ日本語訳がハッキリ決まってません。
当面は「(仮)」です。
ICD-11 - Mortality and Morbidity Statistics

何の役に立つのか。

今まで「なんかの依存症」⇢個々にMMOであるとかソシャゲであるとか、で記載されていたようなものが、「Gaming disorder」になります。
日本の場合、ここに保険医療が絡む為ちょっと事情が変わりますが、より「分かりやすくなった」という事はあるかと思います。

将来的にはどうなるか。

公式見解ではなく、私見です。
日本的な感覚としては「インターネット依存症」というような形にされる可能性はあります。この話の中心としては、射幸心の問題ではないという事が中心になるかと思います。

  • ゲームで得られる勝利や射幸心が高じての依存⇢ギャンブル障害
  • ゲームで過ごす事への依存⇢ゲーム障害
  • コミュニケーションの拒否拒絶⇢社会不安障害


ICD11に限らないのですが、未だに精神疾患に関しては研究が進んでおらず体系化が不十分という面があります。
理想を言えば一つのツリー構造で整理出来ればいいのですが、これが実現する見込みは全くない(現実的ではない)という事もあります。
ICD10使えねー⇢DSM-IVのMR使えー⇢ICD11改訂⇢。。。。。。というのが何回続くかは読めません。


予め人口比率が予想されているのも少々不気味ですし、SOHOでも同様の疾患が発生する可能性はない訳ではないです。
変な話、SAOみたいなVRが開発された場合に人間の精神に与える影響がどんなもんかなんて考えられてはいないのですが、将来的には我々が運動する事はこころの健康に不可欠みたいになっていく可能性は結構あると思ってます。
精神疾患では、特に、「なんでこの人はこういう形で病んでいるのか」という事は案外ハッキリはしない(病んでるのは分かる)ので、「かつての健康のイメージ」というのはステレオタイプ的に古いものが使われるのも仕方ないです。