「二度目の人生を異世界で」をちょっと読んでみた。

ヘイトに塗れたものだと聞いて読んでみたのだが。


多分、この作家に「ヘイトになる可能性がある」という感覚はなかったろうなという考えを強く持った。
それ以前、そもそも過激だとかそういう感覚を持ち合わせてなくて、人の死だとかそのあたりの感覚がびっくりするほど薄い。
だから、もう消えちゃったけど、あのものすごい数殺した記録ってのも、「単に剣の腕前がスゴい」という事にしか使ってない。


例えば

 「ぱんぱかぱーん、おめでとーございます、貴方には異世界に転生する権利が与えられることとなりましたー! これはとっても珍しいことで、めったに無い、言わば宝くじの1等に当選したようなものなのです! 嬉しいですか? 嬉しいですよね? はい、嬉しいと言う事に決まりましたので、みなさまクラッカー準備ー!」


 「え?」

 「斉射ー!」



 幼女の号令の下に、一斉に紐を引かれるクラッカー。

 一体何人の金髪羽付き女性が並んでいるのかは分からなかったが、視界を埋め尽くしているだけの数のクラッカーが寸分違わず一度に鳴り響き、轟音となって地面を揺らす。

 あまりの光景に、功刀くぬぎ 蓮弥れんやはぺたんとしりもちをついてしまった。



 「クラッカー除装! 音楽隊は楽器装備! 手拍子並びに歌唱隊準備!」

 これは絶対にやばい、と蓮弥の脳内で警鐘が鳴り響いた。

 さっきのクラッカーもかなりの音量だったが、今度は楽器と手拍子と歌唱が合わさったらどんな轟音となるのか。

 きっと鼓膜はもとより、精神がもたないと判断した蓮弥は、これから襲い掛かってくる事態を食い止める方法を考えて、即実行に移した。



 「お祝いの歌、よーい……かい……めぎゃ!?」



 しりもちをついた状態から素早く立ち上がると、蓮弥は勢いをつけて容赦なく、微塵もためらうことなく、上機嫌絶好調状態で指揮を執る幼女めがけて前蹴りを放ったのだ。

 まさか攻撃されるとは思ってなかったであろう幼女は、蓮弥の前蹴りをまともに顔面に食らって強制的に後転させられる格好でごろごろと転がっていった。

 やってしまってから蓮弥は気がついたのだが、周囲を埋め尽くしている女性達は蹴飛ばした幼女の指揮に従っていたことから考えて、幼女が指揮官でその配下に当るはずだ。

 当然、指揮官へ攻撃を加えた自分を見逃してくれるはずもないのではないかと思って周囲を見回してみたのだが、誰も動く気配がない。

例えば、シティーハンターとかで、「ハンマーでぶん殴る表現」って出て来るんだけど、それって「滅茶苦茶怒ってる感情と合わせて出て来る誇張表現」みたいな所があるじゃん。
この人はそうじゃないんだよ。ボケにツッコミでもない。
この後に、感情的なセリフが入ってくる。

 これは指揮されないと動けない類の人達なのだろうか、と思った蓮弥だったが、女性達のかなりの数がにっこりと笑っていたり、これみよがしに蓮弥にむけてサムズアップをしているのを見て考えを変える。

 どうやら相当嫌々従っていたらしい。

 女性達の中にはこっそりとだが蓮弥に向けて手を振っている者までいた。



 「な、なにするかー!?」



 転がっていった先で大の字になっていた幼女が立ち上がりながら抗議の声を上げる。

 指摘する気は蓮弥にはさらさらなかったが、貫頭衣など着ている状態で、転がっていったりするものだから、あちこちがめくれ上がって蓮弥の所からはいろいろ見えてはいけないものが丸見えだった。



 「やかましいわ! さっきのクラッカーもうるさかったが、こんな大人数で演奏から歌やらやられたらこっちの鼓膜が破れるわっ!」



 「だからと言って幼女の顔面蹴飛ばしますか!?」



 「俺は年齢差別はしないっ!」



 「女の子ですよ!?」



 「男女平等主義!」



 蓮弥が胸を張って言い切ると、小さなどよめきとまばらにだが拍手が起きた。



 「なんで拍手が起きますか!?」



 幼女が怒鳴りながら女性達の方を睨みつけると、全員が図ったようなタイミングで顔を背けて我関せずと言った顔になった。

「うわ、うるせー」→蹴る、じゃなくて、逆。
そういう、前後順が逆とかが結構ある。


あと、唐突にエロを入れてくる。もうね、よく分かんない。




多分、「我々と同じように考えるから、きっと憎しみを抱いているに違いない」という風に考えてしまうのも間違いなんだろうと思う。
憎しみを抱けるほどの知恵も経験もない。どうも剣道知識なんかも胡散臭いもの変に考えたものを使っているし、こう、「なめんな」って各所からツッコミ受けそうな作品なんだよね。ただ、悪意を持ってやっているようにも見えない。




うーん。なんだろうなこれ。