問題はあって。
そもそものオンプレミスの運用費用が安すぎ、全然官公庁がこういうのに載せ替えても、コストの面ではメリットがゼロに等しい。オンプレミスで五年とかで終わるのマジでない。大体五年過ぎてようやく引っ越し考え十年は突破してくる。
ボリュームライセンスによるディスカウントというのは、捕らぬ狸の皮算用である。というかまあ、AWSのコスト削減でどうやって儲けてるのかというと、まさにボリュームで稼いでいるのであり、システム運用にかかる人件費等は高くなっていたとしても安く見せる為の方策が取られているだけである。
何より、ガバメントクラウドというようなレイヤーを一枚噛ます事で、運用コストが上がる。無論ちゃんとセキュリティとかで幾重にも管理されていたのなら良いのだが、そうではない、オンプレミスは物理限界やクローズドなLAN環境なんかで運用されているが管理層はとても薄い基本仕様が大体なので(書類上名目上の管理者は沢山いても、実際システムアカウントとか持ってねえ事多々ある)、「ちゃんとした」環境に持っていくと携わる人間や役割というのがちゃんと作り上げないといけない。
そして、旧来の環境を標準化されたシステムへとなると、「個々の役所へのリンケージ部分は個々でテストしないと話が始まらない」「標準化されたシステムへのデータ移行には当然プログラムもいるし検証も項目つけてのテストでは押さえられん」(※実はここの部分で認識出来ていなくて失敗する話が沢山ある。データチェック用のPGM開発などもホントは必要だったりするんだよ)。
新システムの開発で、システムの機能は結構テストされるが、データが完全というところの担保に失敗するケースは結構ある。全銀システムでしたっけ。
そもそも、構想自体に「データ転送速度は無限大とする」「ネットワーク関連は完全とする」みたいなのが大体は前提としてある。
いやさー、実際社内だから適当に作られてたシステムが、ゼロトラストに近い環境にもってかれてとなるとセキュリティ部分含めて考えると結構な作り直しになるし、ローカルLAN環境を再現したシステムを乗せるとなると、結局なところ運用コストが下がらん。やる事同じだから。
国はさ、適度な予算を確保してシステム開発とか運用とかしてはいるけど、それ地方自治体になったりした時に、じゃあ一自治体辺り数億円から数十億円という費用が突発的にかかるの、これ何年で償還する訳かいなと思うわけで。無論、システムの近代化改修とかだともっと費用感も含めて大変だよ。
コンピューターの繋がり方から窓口業務のやり方、UI含めて「標準化されたシステム」ってのが出来上がるならまあそれでも、将来的にはマシになるかもとは思うけど、UIに関する要件とかヒアリングもおそらくはしてなくて、単に(データ)モデル層がシンプルなケースで動くという「だけ」が出てくるだろう。
同じ市の中で区が変わるお引越しのパターンで、手続き上担当する区が代わります、というようなケースなんかが、この前の住基のコンビニ連携のところでバグってたとかあるけど、要は人がどのような単位で管理され動くかなんてのが、とんでもないバリエーションがある。
マイナンバーは各システム内でのIDにはならない(そもそも紛失や再発行があり得るシステムでシステム内のIDには使えんけど)。バカみたいなIDとIDが連携して壊れるのよくある。しかもこれに銀行口座問題とかの「緩やかな連携の問題」も絡むんだろ・・・・・・いやさ、マイナンバーを使ってのシステム連携ってバグの温床だよね・・・・・・・
複雑なシステムを複数束ねる場合、複雑さは大体累乗されていくんだよ。いやまあ大体はメインタスク以外の例外処理的なところが、各システムで扱いがズレてたりするのでそう単純でもないんだけど、異常が特定システムで連絡されなかったり、異常が別解釈されてしまったり、そういう事がないか調べてくのって、これもうほぼ新規に全システムを通して一から設計している程度に頭使うからね。
物事を複雑化させすぎるとそうなるんだよ。
おまけに全体をがっつり扱うと大体自治体システムって全国一万を超えたかの自治体で、月曜日から金曜日、9時5時業務だけどメチャクチャ作業時間帯が依るとかの地獄にハマるんだよね。この辺りは銀行さんに近いのだけど、銀行は業務は比較的シンプル(いやまあボリュームは多いけど、それ全部数え上げてるからだって事の影響が大きいと思うのだよね)。
システム標準化するなら、一世代遡って、人間がやる業務が増える事を覚悟して、人間がせっせと謎エクセルとかを作るのを助けないと多分駄目だよ・・・・・・先祖返りするの仕方なしでやらないとねえ。