大麻グミの社長が逮捕された件について少し。

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youtu.be
懲役太郎さんの解釈が間違っていたので少し。

事件の中の用語解説。

容疑はHHCを含むもの7.7kgという事で、完全に個人輸入とかのレベルを超えて営利目的であるし、輸入しているので関税法の規定にも引っかかります。

www.customs.go.jp


重複すると、結構重い罪になります。倉庫、これ所有なのか貸借なのか分かりませんが、こんな会社に倉庫貸す会社はないですし、会社廃業するほかないですね。販売ルートにも捜査入りますし。


「HHC」=ヘキサヒドロカンナビノールの追加は、令和四年(2022年)三月十七日に施行されてますので、アウトですね。
www.mhlw.go.jp


違法性・処分の影響について

大麻成分であっても、大麻取締法ではなく、合成カンナビノイドの類はこちらの指定薬物なんですよ。そして、11月頃に追加になったHHCHでの逮捕ではなく、HHCの逮捕です。
刺激しすぎ、とかではなく、立ち入り調査の時にガッツリ会社潰せるだけの物を持ち帰られてます。まあ、会社は廃業したみたいですが。


指定薬物はケミカルも含まれてますし、医療用途では書面揃えるのとか手間ですが、この指定薬物使う事は認められる事があります。
医療用を解禁しつつ、しかし娯楽用には使わせないというのは、今までもそうであり、ただまあ、医療用大麻って全然医療用医薬品として認められて来なかった歴史があります。


一応最近CBDはFDAで処方薬として認可が降りたものがありますが、他全部FDAは処方薬認可通してないです。治験許可は時々出てますが、効果がほぼ出てない為、これが初です。つまるところ、医薬品としては実は医療用大麻は全然通ってなくて、医者が医者の権限で人体実験的に使っているだけ、しかないんですよ。
真面目に大麻成分の量とかを研究出来ているところもありません。幻覚作用がある分厄介で、RCTが出来てない、治験参加者がボランティアというのもあり、公平性の担保が厳しいんですよね。
FDAも日本も薬事法制に関しては共通です。実はヨーロッパも同じ、中国も何も同じような法体制にしてます。


万が一、効果が認められたりとかして処方薬として生産する、という事になったとしても、がっつり規制当局の審査が入り、そもそも彼らの工場は認可が下りないと思います。処方用医薬品は、動物実験のやり方・治験のやり方・副作用情報収集のやり方・製造の仕方品質の試験の仕方などが、「Good ◯◯ Practice」通称GxPという一連の規制の中で作るもので、採算もかなりキツイものになるかと思います。
違反した小林化工ってジェネリックのメーカーがありましたが(水虫の薬に睡眠導入剤が混入)、損害賠償を支払い続けるだけの会社になりました。

薬機法は結構変わってる。

今の薬機法はどちらかというと戦後のものベースですね。しかもメチャクチャ海外の法律も参照して制定されてますし、薬局方という概念も海外由来です。
薬事法の歴史 - Wikipedia
規制薬物はカタカナ表記されていますが、IUPAC名由来ですし、治験やってると申請が英語ベースになってるところ多かったりします。
治験の規制の法律は、FDAGCPベースですし、コンピューター化システムバリデーションは、欧州のGAMP4というバージョンがベースです。
ICHやWHOというところで国際協調は長年していますし、情報交換はずっと行われてます。


美容での脱毛とかは医師法です。広告は医療法です。薬機法は製薬会社とか化粧品会社とか医療機器の会社が対象です。
難しいと言われがちな医療医薬ジャンルですが、多くは「対象の法律を取り違えてる」事からややこしくなります。
ただ、薬を扱う都合、指定薬物がここに絡んで来るのでケミカル系のドラッグの個人所有とかでこれで逮捕とかになるわけで、規制薬物を決めている省令に対してしか麻取は動きません。麻取は警察と同じく行政というよりは司法的に動く為、立法や行政の決め事にあんまり参加出来ない仕様です。
麻取からすると、省令決めてるのは「上」ではないです。別部署のお仕事で、畑違いなんですよね。
気持ち良くなる薬は全部日本では規制されていると思ったらいいです。法治国家の建前上、指定されないと取り締まれないだけです。今回、包括指定みたいなのがありましたが、本来見つかり次第指定されるのが筋なんでしょうが、法律書き換えるの結構手間なんで日本にそんなに入って来てない場合に置いているだけなんですよね。