日本のバイオベンチャーは、そもそも成功の方法をどれくらい検討しているのかが謎。

prtimes.jp
これを見ながら。



少なくとも既存のものでもチャレンジな使い方をして安く上げるとか、何らかの工夫が必要であるのだが、グルコアルブミンとかがうまく代替指標として使えるかというのは、単に治験を通せばいいという訳ではない。大規模臨床試験等でちゃんと確認される事が必須であり、その上でそれが使える医療機器が出てくる。金額として数回の小規模治験すればすっ飛ぶような資金調達では、ちょっと覚束ないので、せめて大きな金出す企業をバックにつけてないと無理じゃなかろうか。


また、現行の採血検査では、一回の採血で肝臓の数値から何から採れる訳で、糖尿病の指標だけチェック出来ても仕方がない。糖尿病につきものの他の検査も出来ないとほぼ意味を為さない。日常でも測れる事、による影響がかなりいい影響でないと、ただ測定しているだけになる。血圧計体重計並に安く市販されるのではなさそうだが、保険診療内で月数千円程度かけるのがいいか謎。


量産体制を作ったとしても、いくつかの部品は専門的なものにならざるを得ず、品質担保も含めるとかなり金額がかかるものになる。現行ポータブルな医療機器としても、保険効いて数十万円単位であると費用対効果を求められる。なにせ、治療法ではなく単なる測定なので、月数千円程度の診察に比べるとどうしても費用感が。。。。。。単に金額追加されるだけだしね。


簡単に言うと、「モノが作れたとしても、費用感がうまく作れるかなあ?」というところがかなり微妙。
日本の医療ベンチャーは、正直新製品を生む事に結構失敗しており、また、日本国内程度の市場になりがちで、成功しねえだろうなあという印象がある。
月一回の診察が負担だとか言うのなら、よほど安い製品で破壊的イノベーションでも起こさないと、しょんぼりな形になるだろう。



最大限、機器の部分での問題がなく進んでいくとしても、「販売パートナー」とかちょっとそれはどうかなと思う文言が含まれていて、正直建て付けで失敗するかもなという所。
旨味を最大限一つのプロダクトから引き出す為に、製造から販売まで握りたいという考えは分かるのだが、それは大企業の事業部等がやるやり方である。アイデアで食っていくバイオベンチャーであれば製造販売含めライセンスを大手企業に大きな金額で売るのが正解であって、うっかり販売元等になると規制当局から求められる体制の構築にモノスゴイ投資が必要になる。
そもそも医療機器として作った場合でも、健康保険で賄うというのは、月々数千円を長い事続けるようなやり方になるのであり、金額回収まで相当時間がかかる。製造販売元になるというのは、部品の保守体制から安全性定期報告体制からすべて管理しなければいけないのであり、販売までに中小企業とは呼べない程度の人を雇わないとそもそも無理である。
医療機器はOSのアップデートに対してであっても動作確認とかの状況を把握出来ないといけないのだが、ちゃんと脆弱性担当出来る部署も作らないといけない。また特許は多少の延長があるとしても、販売後おおよそ五年程度しか独占出来ない。
ベンチャーの戦い方として、製造販売の責任そのものを引き受けるのは結構重いのもある。なので通常はライセンスを監督役出来る会社に売る訳だ。


会社の座組みを見ても、明らかにこういう分野には知見がなさそうな会社しかない。ネットで使えるIoTサービス、というだけであれば、ネットで使っているIDを取り回す仕組みだけでいいが、例えばこれ健康保険証の情報を格納するとしたら(マイナンバーはこの用途では使えないという議論が一旦ある)結構情報を中継するだけのWebAPIであってもちゃんと堅牢な作りにする必要がある。アクセスに関してちゃんとログが必要だし、機器の盗難に際しては情報漏えいしないようにちゃんと認証機構をつける必要がある。最初期からそこら辺を審議されるのであり、審議だってちゃんと時間がかかる。そういうところの知識は、結構大手の企業とかにしかないよ。


しかしなあ。
PPTのプレゼンまでは餅の絵を描けても正しい役割分担を考えられるところって少ないのよねえ。それだけでほぼ失敗に繋がるのにな。
投資家だけ惹きつけても仕方がないのよなー。