歴史修正主義・・・・・・とあんまり関係ないかも知れないけど、取り敢えず、ラッセンの「ニューエイジ」の雰囲気とか適当に。

ラッセンは「宗教画家」であり「インサイダーアーティスト」 - ohnosakiko’s blog
美術史は歴史修正主義のカタマリ - ohnosakiko’s blog
を見て。

雑感。

ええと、最近ミュシャ展行った。
お恥ずかしながら、ミュシャを見に行ったというよりは、多分ミュシャならそこそこ共感出来るんじゃないだろうかと思って行ったというのが正しい。で、まあ目論見通り、ネタになったという感じなんだけど。

ラッセンはともかくとして。
ミュシャは多分美術史に組み込まれていると思うんだけど、
違いってなんでしょうね、というと、組み込まれた画材の伝統的な何かという感じなのか、それとも、ちょっと経てばラッセンもやっぱり組み込まれるのか。
どっちでしょうねえ。

ラッセン、ネタとしては、いわゆる新古典主義だとかそんな感じなんだろうか。
(´・ω・`)しらんけど、テーマとしてはギリシア・ローマ辺りのをよく書いているし、女の人の書き方もそんな感じには思うんだけど、主線っていうんでしょうか、あそこら辺の、アメコミにも通じるような、なんか妙に浮かび上がってくる所が得も言えぬ不思議さはある。

ラッセンも、「ニューエイジ」とか言われるんだけど、本来ニューエイジにあった、「イキイキとした」というのをハンコ絵にしてしまったような、不思議な感じはある。
イルカ好きのオッサンの絵、なんか紫とか青とかを妙にテカテカ書くよなあとは思うんだけど、なんとなく掛かっている場所は、背景真っ白な、近代建築のど真ん中にありそうで、まあ、応接室によく掛かっている類の絵という意味ではちょっと色気ありすぎるよね、という風に見える。
なんだっけ、最近はてブで見たなあ、オフィスをどっかのポスターとかのやつで色つけてみたりとかのやつ。あそこまでやると、見飽きたら苦痛なんだけど、ラッセンぐらいだとまあオフィスに南の島好きな人がいるんだろうとか思う。ヘミングウェイとか思わせるにはちょっと骨がたんない気がするけど。
多分、ラッセンと紐付けられる「ニューエイジ」って、ファッションとしての「ニューエイジ」であって、ちょいワルおやじと似たようなニューエイジ思想なんだろうと思う。宗教画、というには荘厳さはたんない。頑張ってもの○の塔のパンフである。物好きは集めるんだろうけど。

ニューエイジ、という言葉ですらちょっとファッショナブルで、まあモードとかじゃないんだろうけど、南海の孤島とかで得られる何かじゃなくて日差しの強い観光地でお金で買った葉っぱとか吸ってる感じである。奴隷労働で葉っぱ育ててる人、自動小銃構えているオッサンら、船での密輸、そんな段階をすっ飛ばして見せられる絵。
ラッセンの絵に描かれたイルカには、綺麗に描かれたという事は感じる。精密な部分もあるんだけど、精密さの中にどうしても入り込んでくるはずの、大自然の営みだとかドキュメンタリティみたいなのは全然ない。傷もないし、あのイルカは魚食わないだろうとか、完全に美的な虚構な気がする。冬がないし。
ミュシャは、と比較するとアレかも知れないけど、新古典とかいうんだろうか、あそこら辺のを取り込む際に、やっぱり人為的ながら、対比構造みたいなのがある。季節の中の綺麗な所だけを取り上げる訳ではない、という。まあ、そもそもポスターが得意みたいな所もあって、無論ラッセン的な虚構ってのはあるんだけど、その虚構は、ある種の形式美というようなものがある。
うーん、なんか違うなあ。ラッセンの絵には、美的な主張があるように見えて、ミュシャのはちょっと違うような何かちう感じなのか。ミュシャもモダン賛美な所があるけど古典を織り込むような、なんつーか色々頭ん中で情景が動いて見えることがあるんだけど、ラッセンのは完全に静止させて見る何かだよねえ。絵自体には文句言うな、みたいな。

まあ、ラッセンもファッションニューエイジなら、ミュシャに行くのもファッションではあるんだけど、例えばそこに描かれている意味にホクホクするような事がないのはつまらんなあ、とか思う。なんつーか、観光地のペナント並な意味しかラッセンには見いだせないんだよね。
なんだろうなあ。なんというか、「いつでも蹂躙出来る自然との共存」というのとか、ニューエイジのポスト・フロンティアな所とか、そんなのかもしれない。
オフィスビルに囲っておいて、朝出社をやんわりと女子マネで「推進」するような、ニセモノの夢の国な感じが酷いって感じなんだろうか。

とかラッセンdisのミュシャ賛美みたいになったけど、やっぱりイマイチその違いが見いだせてない。
象徴画的な所はラッセンもそうなはずなんだけど、なんだろう、結局あんまりにバランスが良すぎる・象徴が一つとかそんな感じなのかなあ。
絵画はマトモに学習した事もないけど、ピクチャレスクとか好きだし、ゴシック建築リバイバルの方も好きだし、廃墟好きだけど。

ラッセン

ラッセンってのは不思議な作家だ。
日常的に好評を得ている場所は、画廊とかではなくて、ジグソーパズルの中のように思う。いや、ラッセンのやつは嫌いなんですけど。
ジグソーパズルって、俯瞰的にあんま眺めない。できちゃった後の絵は単なるご褒美である。ラッセンの絵は1ピースの中でグラデーションがあるので結構面白い。

しかし。
売れてはいるらしいんだけど、本当に「飾ってある」のを見掛けない。
や、確かに自分は海苦手なのでそういう店に全然行かないんだけど、サーフショップとかの店で、ガチでラッセン飾ってないでしょう。

あの、アート風なデザイン、日常にアートを取り込む感じというよりアートを借りてきちゃった感じ、そもそもの絵が、お前それ外の景色の写真とどう違うのかという所で絵に日常をはめ込むみたいな許容のされ方が、どうにも腑に落ちない。

宗教画、と言われると腑に落ちるかというとそれでもない。
そうなるともう少しデザインとかになると思うんだけど、ラッセンの中にあんまり黄金比wとかは見いだせない。

そう、ラッセンって、多分知ってる二十年ぐらい前から、商売の為に開かれたデパートの展示物の一つとして組み込まれてて。
本当に、誰が好きだったのだろう。

まあ、帰りに本買ってみるかー。