ライフサイエンスの匂いがしない、超絶周回遅れのトップランナー風創薬企業。

※書き手は大手製薬企業から金もらってる人ですが、ベンチャーとはお仕事していないです。
※T、t、G、C、O、D、Aとやってました。今はD、Aくらいか。グループとしてはTと前のとは違うDとかも大量にやってます。あまり特定の企業に思い入れはないです。中の人も結構転職するし。
※会社の中では傍流なので会社説明では出て来ないと思います。
※グループ内でも知られておらず、ググってグループ会社が出てきたので聞いてみた→東京から大阪へ話が流れてくる、というパターン結構ありました。
※直上の上司から上の方もよく分かっていないです。


www.itmedia.co.jp
ブコメにちょっと書いた。


がんペプチドワクチンの話から、その日本で先導していた人がベンチャー企業を作ってそっからアメリカに行ったりと、がんペプチドワクチンはこうマトモに発展しそうにない所がある。
今画期的新薬として出て来る抗がん剤は、モノクロナール抗体のもので、日本では完全に立ち遅れているが、アメリカが二十年分は時間も金もかけているものなのでこのギャップは当面続くだろうとは思える。日本の製薬企業が対抗できているのは、日本独特の環境による。
余談だが、アメリカとヨーロッパはほぼ同一の環境だと思ってよく、小さい会社はもうグローバル企業に駆逐されている。フランスは国策によってサノフィを維持したが、結構薙ぎ払われてる。


モノクロナール抗体と、がんペプチドワクチンは、双方とも最先端医療とは言われるが、実は後者に絡む免疫療法などが、テーラーメイド型の医療でビックリするほど金がかかるが著効は1割程度でかつ拘束される事が多い。見込みがあったとしても、世界には普及しない医療であるし標準医療化するには手間暇がかかりすぎるマニアの医療である。
特に、がんペプチドワクチンは、「臨床では効果が見えるが統計を取ってみると案外効果がない」所で、わざわざ先端医療と言っているのにも関わらず、当たり前な抗がん剤よりも効果が見込めない状況であり、併用療法で頑張ってエビデンスを取ろうとしている医師の集団が存在するというだけの状況だと見える。
日本癌学会|第22回日本癌学会市民公開講座 講演1「がんペプチドワクチン療法」
冷徹な目で見れば、「効果ありという宣伝を行うのは犯罪」と思える。厳しい言い方をすると、治験で効果が示せないというのは、科学的に立証された理論ではない。
この分野の研究者は少なくともあと二十年は諦めて欲しいと思う。


で、今更創薬分野で新会社をわざわざ興す意味ってそうないと思うがなあと。
しかも、この会社が創薬をする訳ではない。どちらかというと製薬会社を作っているだけだ。

がんペプチドワクチン臨床試験
がんペプチドワクチン非臨床試験
・治験用ワクチンの製剤開発・安定性試験
・製薬会社との実用化推進

CYTLIMIC -cytotoxic T lvmphoctyte Immunotherapy in cancer

ずらっと並んだ取締役とかを見ていても、明らかに電機系の人間とベンチャーファンドの人間しかいない。
臨床試験非臨床試験をやるなら、それ用の人材を集める必要があるのだが、そういう空気がない。
また、この会社自体はAI関係なく、むしろAIから吐き出された化合物を地味に動物実験して安全性をやりという、どちらかというと工業化をひたすらやる会社のはずなんだが・・・・・・「そこ」が、製薬で一番金がかかり手間暇かかるんだよね。
対象患者が二十万人以下の薬を、オーファンドラッグというんだけど。
今一つの薬を開発するのにかかるのは日本で500億円、海外では1500億円くらい。これには基礎研究費用とかが含まれていない。その金額のものをこの会社では取り扱える気はしない。単に、製薬会社に渡すライセンスを取り扱うだけだろう。どこぞの会社と全く変わらない。因みに、こうやって見つけた化合物を片っ端から特許取られているかのチェックをしなければいけない所とかちゃんとされているのか微妙。


資本金がどこぞの所より桁が一つ足りないし、これマジでやる気なんだろうか。ヤバイ匂いしかしないなあ。