多分一番過不足ないのが毎日かもな。
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一応ですが、塩野義製薬さんと仕事をした事があります。利益相反関係ってやつです。ただまあ、そんな事言っても、新薬メーカーの様々な会社とお仕事した事ありますので、別に塩野義製薬さんにだけ恩義を感じているとかはないです。個人的には、身内ほど容赦のない事を言いたい方ですが、とは言え、変に誇張されて伝わるのが嫌なので。
昨日会議で使われた資料(ちょっとわかりやすい)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000966656.pdf
PMDAの審議結果(ここから昨日の話になっていきます)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000966600.pdf
新型コロナ治療薬はどういう薬か。
3CLプロテアーゼ阻害薬、という言い方で一般化出来るかなと。先行しているニルマトレルビル(ファイザーの)と同様の作用機序になるのですが、化合物としては異なり、まあ性質が増強されたりとか色々あるんでしょうが、根本的には同じ薬効です。
その為、ニルマトレルビルの副作用と同様の事が発生するだろうという可能性はあります。治療も当然ながらその辺りを期待するのですが。
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副作用については、動物実験によって催奇性が認められています。人間に対してはただまあ不明確といえば不明確であるのですが、「妊娠可能性のある女性や妊婦については投与しないよう」になります。
他動物でしか確かめようのない遺伝毒性とかは特には認められていません。胎児、特に妊娠初期のそれは、結構薬剤によって催奇性が発生するものがあります、というか、ここ通過しないのは仕方ないようには思います。
併用上の懸念についてですが、他の薬剤の代謝に影響を与えるようです。阻害作用とか出てるようなんですが、ニルマトレルビルはそれだけだと代謝が早すぎるのでむしろ阻害剤を足してます。
この辺りもそうなんですが、「じゃあどのくらいが最適なの」てのは案外難しいです。
なお、代表的なやつのはCYP3A4という代謝酵素があり、これに関連する薬はWikipediaにあるんですが、これらの薬飲んでる人は結構います。
ja.wikipedia.org
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誘導作用を示しそうで、CYP1A2は二倍程度誘導してるようです。グレープフルーツジュースの逆方向で、なにか治療中の人は注意がいります。
めっちゃ対象の薬あるじゃん、とか言われそうですが、まあ代謝ですので影響はします。そして、たいていのお薬はちゃんぽん注意だと思ってください。とは言え、市販薬程度ではそんなに気にしなくていいです。例外的にグレープフルーツジュースは怖いんですが。。。。。。今のところそのせいで死んだ人とかは聞かない、いないはず。
アナフィラキシーとかは多分まだ発生していないと思います。そもそも発生がごく稀傾向なんで。第三相でも見極められないので大体初期は「類似薬効でそういう副作用が出たら同様の副作用を予期しておく」みたいな形になります。まあ他の薬と比較して系統が同じなら同じ可能性はあるよなという。
治験で分かった事
肝心の今回の第二相試験の話なのですが、元々のFDAとかが出してた12の症状の緩和とかの基準は満たせなかった、新型コロナの特にオミクロン株で注目される症状と、ウィルスの血中濃度を減らせるのはわかった、という話です。
そもそも早期承認では、長期安全性試験をやる前に条件付きで(長期安全性試験を後でやるとか)認めるというものになる為、「有効性に見込みがある」事はもちろんの事、「安全性でも事前に異様なものが出ていない」事も大事になります。後者は満たしていますが、前者が、ね。。。。。。。
どうして有効性が出なかったのか・・・・・・背景も大きい。
重症化しない病気は、重症化する病気に比べて治療効果も出にくいです。
あと、ぶっちゃけアメリカ人より日本人被験者の方が、BMIが低かったりします。つまるところ、症状軽めな可能性が高い被験者が来てしまうと案外こういう薬は効果が見えません。
実際今承認されている治療薬と比較試験やってみたら、案外同等程度出てくる気がします。
分かりにくいですけどね。どうしたって「薬のお陰で治った!」って出したいのは分かりますが。
なので、国際共同試験とかの結果も見たいところですが、日本人の結果を見てわかるように、「劇的に効果がある」というものではなさそうです。
特に、感染拡大抑止効果、みたいなものについてはおそらくほとんど効果がないと思います。そんなものは治験では調べられるものではないですが。
病院からすると、「早く治るならその分ベッドの回転率が上がるかも」「院内感染の可能性が減るかも」なんですが、院内感染が増加の主因ではないので、そんな劇的に減るとかはなさそうです。
この日の審議で最大の焦点となったのは、塩野義の飲み薬の有効性を巡る評価だった。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、6月の専門部会で示した審査報告書を初めて公表した。塩野義が提出した中間段階の治験データでは「効能・効果に対する有効性が推定できるものとは判断できない」と断じた。同席したPMDAの藤原康弘理事長は、症状改善の効果について「(塩野義の飲み薬と偽薬とで)普通に見ると差がない」と指摘。体内におけるウイルス量は明確に下がっているものの「臨床的効果はこのぐらいか、というのが正直な判断」と解説した。
塩野義コロナ薬 全会一致で緊急承認見送り「救世主にならない」 | 毎日新聞
これ、承認済みのレムデシビルでも実は「意外と効果ない」事言われてまして。
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やっぱりワクチンの効果に比べると見劣りするなあという気がします。