一般名処方が始まったけど。

一般名って?

医薬品に含まれている成分名、に近いものです。一緒、と言わないのは、成分の中でも幾つか主な成分に絞られることもあるので。というか、「絶対全部の薬品入れるぞ」コード体系に、例外はつきもの。

何処にそんなのが記載されるの?

添付文書内に、一般名は記載されています。

そのDBは提供されるの?

一応、まず、何がベースとなるかの話を書いておきます。
ベースとしなければならないのは、「http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/downloadMenu/」です。電子レセプトのこのマスタには一般名の記述はありませんが、少なくともこの内容とシステムで自動的に連携しないと、とても厄介なわけです。
で、厚生労働省が出してきた話が「http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shohosen.html」です。

一般名コード:薬価基準収載医薬品コード(厚生労働省医政局経済課の分類コード)の上9桁に続き、3桁「ZZZ」を付記し、12桁としています。

処方せんに記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(平成26年3月31日まで)|厚生労働省

いい加減このバーコード体系なんとかならんかと思うんですが、まあこんな感じで。
回答としては、「あるよ」と言っておきます。

じゃあ何で「一般名処方に対する医療現場のつぶやきまとめ - Togetter」みたいに悲鳴が上がってんの?

システムが「一般名処方」に対応してないからです。
元々のコードに一般名の欄はありませんし、一度厚生労働省のマスタに当ててコードを抽出し、9桁コードを抽出し、薬局にある商品の9桁を引き当て〜みたいな流れは、今まで想定されてませんでした、ということです。フローが変わるんですよね。
元々のシステムをあまり変更せずに利用するには、厚生労働省のマスタをベースに改変版レセプトマスタを作る、という緊急パッチ的な何かは出しているかも知れませんが、これ、概念的には簡単なのですが、改変レセプトマスタの内容を保証することがとても難しい*1ので*2、自分がシステムに関わってたら拒否したいと思うものです。どうせ、もうこれらの電子カルテシステムはメンテナンスモードで開発費用とかロクに出ないし。改訂って結構工数掛かるんですよ(テストがねー)。
その前に、診療報酬がもう多分発狂しそうな感じですよね。手動で点数当ててるんでしょうけど、間違いとかは機会多いんで絶対発生しますよね。うはー面倒臭い。

どうすりゃいいの?

システムが対応してないなら、まあシステム外部で引き当てる何かを作った方がいいとは思うのですが。なんか辞書引き引きがんばるのも大変なので。
自分の私用パソコンにはExcelないんで厚生労働省の奴をデータ化するのが面倒なんでしませんけど*3PDIC*4辺り使って、「一般名+薬剤名混在→薬剤名」という辞書を作るとか、色々やりようはあると思うんですけどねえ。
PDICステマとかって言われると困りますが、厚生労働省の最安値薬剤ステマに比べたらマシでしょ。*5


毎度思うんですが、
厚生労働省のこの手の報酬とかの改訂こそ、もう少しシステム的な影響とかも考えた検討会が開かれるべき」で、
いい加減厚生労働省主体で「標準的な今回用の改訂のプロジェクトの進め方」とか先導するべき。
そんなことばっかしてるから、「表面上は変更されたが、全然仕組みとして変わらない」みたいなしょぼい話になるんですよ。
そりゃそうだよね、仕組みとして旧来のやり方の方が、システムの思想に沿うわけで、医療機関も楽だし患者さんも楽だもん(待ち時間減る)。
人件費という所がコストとして大きいの考えれば、ぶっちゃけ一般名処方なんか無視する方が正しい、ってことになるわけですよ。
それでも医療機関が従うのは、「儲けが無い(赤字)」からで、患者に投入されるべきリソースが全部小銭稼ぎに投入され、という悪循環になってるのが何で分からないのか未だに謎です。
中の人も悪いっちゃ悪いんですよ。取り敢えず例外処理は人力でOK、みたいに考えてることが多すぎる。本片手に、なーんて、お前らの目の前にあるのは何だ、とは思いますよ。システムのバリデーションとか考えるとどうしてもシステム改訂とかは時間がかかるんで、その間に使うシステム以下のツールぐらいちょっとは考えろよ、と。考えてそれならマゾ過ぎて引きます。


余談。
この手のサブシステム(って言うと予算付きやすいと思います)での注意として、対象疾患によっては後発薬がダメな場合があります。厚生労働省の一般名マスタでは分かりにくいので、「http://www.jga.gr.jp/pdf/Effect%20correction%20list.pdf」を工夫してなんとかして下さい(投げやり)。
更新頻度は年2回想定ぐらいで十分だとは思います。

*1:イレギュラーなデータがあるかどうか分かりませんが結構あることがあって、結局は全件あっていないとロジックの担保出来ないですし、まあそこまでは面倒なので、「最終的には人間の判断」ということで逃げるしか。ちなみに、薬価コード、全ての医療用医薬品をカバーしていないが為にその改変版が幾つもの団体から有料(MEDISは無料だけど、薬価コードべったりなので一般名がありません)で出ています。

*2:ちなみに、この辞書共、たまに間違っており、特に一般名や一般名の英訳は間違ってます。が、これらは版管理されているのである程度「間違った責任を団体に押し付けられるわけです」。

*3:僕と契約して彼女になって・・・・・・いややめとこう

*4:シェアウェア。\1,000です。製薬企業では割と見かけるんですけどちゃんと金払ってるかなあ一人当たり\1,000なんて安いと思うけど。面倒でも実用段階では金払った方が良いですよ、上の人間がフリーライドに慣れると最悪ですので。

*5:どうせなら薬剤名書いとけよ、使えねえなあ